GIGA Spin Builderとは

これまで「極低温」「高磁場」「ミリ波」といった高度かつ複雑な技術を利用しなければ、他核種の超偏極溶液の生成を行うことができませんでした。GIGA Spin Builder では、パラ水素が持つエネルギーを活用した化学的分極移動法であるPHIP(Para-Hydrogen Induced Polarization)法を用いて、「常温」「低磁場」の環境下で、簡便かつ短時間で超偏極溶液を得ることを可能としました。不飽和結合をもつ「前駆体」化合物に水素付加反応によって、パラ水素ガスが付加します。付加した水素原子は、ほぼすべて量子状態がそろっており 巨大な磁化エネルギーを示します。この磁化エネルギーを13C 核などの長寿命核に分子内分極転移を行い、超偏極化合物を得ることができます。

機能

不飽和結合をもつ「前駆体」化合物に水素付加反応によって、パラ水素ガスが付加します。付加した水素原子は、ほぼすべて量子状態のそろっており巨大な磁化エネルギーを示します。この磁化エネルギーを13C 核などの長寿命核に分子内分極転移を行い、超偏極化合物を得ることができます。

パラ水素変換装置

GIGA Spin Builderでは100%パラ水素の水素ガスが必要です。水素は常温以上では,オルト水素:パラ水素=3:1の比率で存在しています。水素ガスを沸点(-252.9℃=20.1K)付近まで冷やすとパラ水素がほぼ100%になります。

そこで,パラ水素変換装置により100%の水素を準備することができます。 20K 程度に冷やした真空チャンバー内に水素ガスを通して,沸点付近まで温度を下げて100%パラ水素にします。これを専用のボンベに集めてGIGA Spin Builderにセットして超偏極化合物の生成を行います。

撮像例

細胞死イメージング
世界初のPHIP 法で生成した13C 標識フマル酸を用いた細胞死イメージング画像です。弊社1.5T-MRI 装置を用い、投与後20秒後から強い信号を観測することに成功しています。アセトアミノフェン誘導肝障害の様子を明瞭に確認することができます。